夫婦・カップルカウンセリングについて

  • 夫婦・カップルカウンセリングについて

1.はじめに

 人間は、これまでの長い歴史の中で、様々な集団をつくって生き延びてきました。2人以上の人間が一緒にいれば、そこには人間関係ができます。親子の関係、職場の人間関係、学校での人間関係、ご近所の人間関係など・・・。

 「この人とはすごく一緒にいて楽だな」という関係もあれば、「どうにもこの人とは合わないな」という関係もあるかと思います。色々な関係性の中でも、毎日一緒にいて、生活の大部分、一生を共にするという点で、夫婦・カップルの関係についてお悩みを抱えている方は少なくないのではないでしょうか?夫婦・カップルにおける関係悪化や喧嘩でお悩みの場合、当事者のお二人で話し合うことで解決することもあるでしょう。しかし、お二人で話し合おうとすればするほど、感情的になり、「あなたが悪い」「お前が悪い」といったやりとりが続いて疲弊してしまうこともよくあります。むしろ、感情的にならないほうが難しいかもしれません。かといって、そのような状況で、中立的に話し合いに参加してくれる第三者を探すのは簡単ではありません。さすがにそこまで巻き込むのはちょっと・・・と思ってしまうのも自然です。そこで、おすすめしたいのが、夫婦・カップルカウンセリングです。

2.夫婦・カップルカウンセリングの目指すこと

 夫婦・カップルカウンセリングと個人カウンセリングの大きな違いは、個人カウンセリングは個人が変化することをめざすのに対して、夫婦・カップルカウンセリングは、関係性の再構築をめざす点です。ですので、カウンセラーは中立的な立場で関わります。「中立的」というと少し冷たい印象を持たれてしまうかもしれませんが、カウンセラーはお二人共の味方であると言ったほうが正しいです。ですので、どちらか一方ではなくお二人共、より楽になることを目指していくイメージです。また、問題の原因を「夫の頑固な気質のせい」「妻のうつ病のせい」など、個人のせいにすることはありません。あくまでも、お二人の間でコミュニケーションの悪循環が起きている状態ととらえ、そのコミュニケーションに変化が起きるよう取り組みます。

 たとえお二人の関係性が悪化しているときにも、それぞれ努力している場合が多いです。すべての行動は、人が事態に対処しようと努力している行動であると考えます。お互いが努力しているにも関わらず、歯車のかみ合わなさによって、しんどさが持続していることが多いです。カウンセリングでは、カウンセラーがガイドしながら、お互いの歯車がかみ合うように話し合いを進めていきます。また、一言で「関係性の再構築」と言っても、どのような形になれば楽に過ごせるかは夫婦・カップルによってずいぶん異なります。お二人のめざす解決像がどんなものなのか、丁寧にお聴きしますのでご安心ください。

3.夫婦・カップルカウンセリングにおける困り事のテーマ例

 夫婦・カップル関係を修復したい。喧嘩が絶えない。話し合いができない。会話がほとんどない。会話が噛み合わない。パートナーに言いたいことを言えない。性格の不一致。セックスレスである。別居を考えている。離婚をするか迷っている。モラハラ・DVがある。精神疾患をきっかけに夫婦・カップル関係が悪化している、子育て方針の相違など。ここに挙げた以外のお困り事でも、まずはご相談ください。

4.具体的な例(架空のケースです)

 30代のご夫婦。子どもは6歳と2歳の男の子。妻の申込でご夫婦そろって来談。共働きで、普段は妻が時短勤務をしているため、子どもの保育園送迎は妻が行っている。夫の残業が多い仕事のため、帰りは子どもが寝る時間よりも遅い21時ごろになってしまう。平日、妻は家事、わんぱく盛りの男の子育児を主に担っており、毎日しんどいと感じている。一方で夫は、仕事から疲れて帰ってくると、妻から「なんで私ばっかりこんなにしんどいの」と不満を言われてしんどいと感じている。うんざりするし、早くお風呂に入ってリラックスしたいので、話を切り上げようとすると、妻から「私と子どものことはどうでもいいの!」と責められ、夫は「自分だって仕事が忙しい中できる限りやっている。休日は料理を作ったり、子どもと公園で遊んでいる」と言う。妻が「平日の私の大変さも知らないで!」と怒り、口論になってしまう。

 例えばこのような例ですと、妻は平日、毎日家事育児をほぼ一人で頑張っていますよね。また、その大変さを一人で抱えず夫にも分かってもらおうと頑張っていますよね。一方で夫も、毎日遅くまで仕事を頑張っているのは言うまでもなく、平日はなるべく体力を温存するために自己調整している。休日も疲れているのに料理をしたり子どもと公園に行くなど、自分ができることをやろうと頑張っています。つまり、お互いそれぞれの思いがあって頑張っているのですが、すれ違いのコミュニケーションになっています。このご夫婦にご提案できる方法は、ひとつではありません。コミュニケーションの悪循環を断ち切ってもいいですし、すでにある良循環を活用してもいいかもしれません。ご夫婦と話し合いつつ、どんな方法が取れるか考えていきます。このご夫婦の場合は、カウンセリングで話をするうちに次のような展開になりました。

 妻は、夫が平日に早く話を切り上げようとする姿を見て、「私と子どものことはどうでもいいの?」と解釈して傷つき、より夫を責めていました。しかし、カウンセリングで夫の気持ちを聞くうちに、実は、夫は妻に対して家事育児の負担が多く申し訳ないと思っていること、帰宅して妻から文句を言われると、幼少期に毎晩のように母親から愚痴を聞かされていたことを思い出し、話をする気がなくなることが分かりました。夫は夫で、妻や子どもに対して、どうでもいいとは思っていないし、平日は疲弊しているけれど、休日はできる範囲で家事育児を担えたらと思っていることをぽつりぽつりと語りました。そのため、カウンセラーからの提案で、「休日のうち1日は妻の休息日として、夫に家事育児を任せてお出かけしても良い日」とすることになりました。また、カウンセラーが「ところで、お二人が口論にならず、普通に会話できているときってどんな時ですか?」と問うと、妻から「最近はやってないんですけど、元々ボードゲームが共通の趣味だったので、夫と晩酌しながらボードゲームをしているときは楽しかったですね」と語られました。そのためカウンセラーから、「時々、晩酌しながらボードゲームする」というコミュニケーションの機会を提案しました。夫も乗り気で、週1回程度なら負担にならないと言い、金曜日の夜は夫が帰りにお酒を買ってきて、二人で晩酌しながらボードゲームをしたり、映画を見たりするのが習慣になりました。妻にしてみると、平日の家事育児の負担が多いのは相変わらずしんどいと感じていますが、夫が毎週買ってきてくれるお酒や、休日に子どもを一人で見てくれている様子を見て、以前のように「私たちのことはどうでもいいの?」とは思わなくなりました。夫も子どもと密に関わって成長を見る機会が増えたことで、習い事など、主体的に関与しようとする発言が出てきました。また、夫はどちらかというと無口で、自分の気持ちを流暢に言葉にするのが苦手なので妻はもどかしさを感じていましたが、夫がしてくれている普段の行動によって、愛情を感じればよいと思うようになりました。

5.さいごに

 もし、ご夫婦・カップルのお二人そろって来ることが難しい場合、どちらか単独での来談もご検討ください。お二人そろって来談される場合に比べると、全体像が把握しにくかったり、取れる選択肢に限りがあったりするかもしれませんが、単独での来談でも楽になることがあります。また、もし、ご夫婦・カップルにとって役立つと判断した場合、お互いが個人カウンセリングを受けることをご提案することもあります。

この記事を書いた人

横山
横山Ms. Yokoyama

臨床心理士 (登録番号:第33354号)
公認心理師 (登録番号:第22712号)
USPTベーシック

カウンセリングのお問い合わせ・ご予約

075-334-6511

予約制です。お電話にてご予約ください。

【電話受付時間】
  • 月・火・木・金:12時~20時
  • 水:10時~18時
  • 土・日:9時~17時
  • ※初回は50分か75分でご予約下さい。その後はカウンセラーと相談して決めていただけます。
  • ※キャンセルのご連絡につきましては、上記時間帯以外は留守番電話にメッセージをお入れください。折り返しのご連絡はしておりませんので、新たなご予約につきましては、電話受付時間内に改めてご連絡をお願いいたします。
  • ※複数のEAP会社ともプロバイダ契約していますので、ご自身が勤務されている会社が加入していれば心理カウンセリングを数回無料で受けることが可能になります。